舞台を19世紀末のロンドンに移した、逆転裁判シリーズの転換点となる作品。筆者の逆転裁判シリーズのプレイ歴は123をクリアまでプレイ済み、4を途中で積んでおり、逆転検事シリーズは未プレイ。
開発元 | パブリッシャー | リリース日 |
CAPCOM | CAPCOM | 2015/7/9 |
非常に力の入った好印象なゲーム開発
さすが、カプコン。さすが、逆転裁判シリーズ。とにかく、ゲームとしてのクオリティが高い。
本作はシリーズの例にもれず、推理要素を持ったサウンドノベルゲームであるのだが、3Dモデリングされたキャラクターが非常に雄弁にグリグリと動き、表情まで細かく作られている。ノベルゲームのキャラモーションとは思えない力の入りようだ。
本シリーズの核といってもよい、”BGM”についても非常に力を入れて作られていることが感じ取れる。旧作のようなチップチューンではなく、オーケストラ調の楽曲が採用されており、今作の雰囲気にぴったりとマッチしている。”場の空気をBGMで表現する”というコンセプトについては旧作のほうがうまく行っているが、今作もぶれないコンセプトでゲーム作りがされている印象だ。
シンプルで洗練されたゲームシステム
本作はゲームシステムが非常にシンプルに作られている。サイコロックといったような特殊なシステムがなくなり、”捜査”と”裁判”をプレイすることが重点にゲームがつくられている。プレイヤーによってここは賛否がある部分だとは思うが、個人的にはシンプルなゲーム性は不快ではなく、逆転裁判の面白さの原点回帰と感じた。
また、ゲームの進行に関しては、詰みポイントは感じられず、プレイヤーの誘導の仕方などが過去作に対して洗練されている。(具体的には忘れてしまったが、過去作には詰みポイントがあったように記憶している)
つまらない序盤、未完成のストーリー
全体的に力の入った作品であるのだが、ゲーム序盤はシンプルにつまらない。1章はキャラクター全員の頭が悪すぎて非常にいらいらするし、2章は”裁判パート無し”冗長でつまらない章だった。
3章はからはやっとストーリーが動き出すのだが…….
なんとこのゲームは本作で完結しない
ロンドンの闇をちらつかせて、ゲームが終了するのだ。
フルプライスで完結しないゲームというのは正直評価がしづらい。一応、1~5章をコンパクトにたたんで1側面としては完結の形をみせるのだが、起承転結でいうと”起”で終わる印象が否めない。ストーリー展開自体は、伏線を巧妙に張っていく巧舟氏の持ち味がでており、決して悪いものではない。
裁判パート ちょっとむかつく
今作の裁判パートでは、”陪審員制”が採用されているのだが、「陪審員の機嫌を損ねたら有罪」、「陪審員の心を掴んだら無罪」というゲームシステムは納得がいかない。
逆転裁判ってそういうゲームだっけ?
もっと証拠から論理的に進行していく気持ちの良さが過去作にはあったように思う。
総評
ゲームそのものは非常に力を入れてつくられており、プレイする価値のあるカプコンの力作だ。しかし、ストーリーが完結しない作品を発売するやり方は私は好きではない。現在、本作のリマスター版は1&2が同梱されて売られており、プレイする際はそちらの購入をお勧めする。
- ノベルゲームとしては非常にクオリティの高い3Dモーション
- BGMそのもののクオリティ、演出としての使い方
- 裁判パートの原点回帰的な面白さ
- 序盤が純粋に面白くない
- ストーリーが完結しないため単体作品としてイマイチ
- 陪審員制度に納得感が持てない
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