『Starfield』は、Falloutシリーズや、The Elder Scrollsシリーズを手掛けるBethesda Game Studiosのシングルプレイゲームの新作としては、Fallout4以来8年ぶりの新作である。かくいう私も何年も前から発売を心待ちにしていたクチだ。実際に発売日から有給をとり、5日ぶっ通しで60時間ほどプレイをした。
しかし、世間的にStarfieldの評価は決して発売前に期待されていたようなものではなく、2023年GOTY最有力候補と言われていたのも、もう昔の話だ。私もこのゲームに対して言いたいことはいくつもあるため、レビューを行う。
発売から10日後 23/09/16時点のSteamレビュー評価
開発元 | パブリッシャー | リリース日 |
Bethesda Game Studios | Bethesda Softworks | 2023/9/6 |
美しく、作り込まれた宇宙
まずはこのゲームの素晴らしい部分から語っていきたいのだが、このゲームのヴィジュアル的な部分は、私が過去にプレイしたゲームの中でも最高峰だ。ふと、宇宙船の中から、惑星の地表から、宇宙を見上げた時に非常に美しい世界が広がっているのである。この体験は格別だ。
この画像は決してムービーシーンではなく、ゲームプレイ中にフォトモードで撮影したものである
スターヤードの中から窓の外を見ても、美しい宇宙が堪能できる
そしてこんなにも宇宙を作り込んでいるのに、「街」であったり、「部屋」といったミニマムな部分まで細部に作り込んであるのが本作の驚異的なところだ。ビルに入ればたくさんのフロアがあり、コピペで作られたような部屋はほぼない。惑星ごとの街にもそれぞれ特徴があり、散歩するだけでもこの世界は非常に魅力的なものになっている。”世界の作り込み”という一点に関しては、少なくとも過去までにこのゲームに並ぶものは存在せず、おそらく未来にも数えるほどしかないだろう。
とっても楽しい宇宙船建造
こんなにも作り込まれた素晴らしい宇宙を、非常に高い自由度でカスタマイズした自分だけの宇宙船で冒険し、時には戦闘までできるのだ。楽しくないわけがない。特に、宇宙海賊である「紅の艦隊」に加入した際の宇宙戦闘イベントは難易度も高く、自分で頭を悩ませ、戦闘特化の宇宙船をビルドするのが非常に面白かった。
ロールプレイの面白さ
この世界には、数えきることができないほどの大量のクエストが用意され、またそれぞれに多数の選択肢が容易されている。この膨大なクエストを通じて、プレイヤーはゲーム内でのアイデンティティを確立し、世界に没入することができる。
例えば、就職活動をして大企業の社員として働くこともできれば、警察組織に入り、街を守ることもできる。もしくは海賊となり、略奪の限りを尽くしても良い。この世界は様々なロールプレイを許容し、プレイヤーの行動に対してフィードバックを与えてくれる。
クソみたいな品質管理
ここまでは、本作の素晴らしい部分を語らせてもらったが、ここからはネガティブな面を語っていきたい。”このゲームのどこが悪いのか”と言われると、全体的に全部ダメで味が薄いと言わざるを得ない。
本作の悪い部分として、UIが真っ先に挙げられているのは周知のことだと思うが、このUIに誰も疑問を持たずに発売してしまうことが一番クソだと感じる。同じようになんでこんな状態で発売してしまったんだ?と思うような部分がいくつもいくつもあるので紹介していきたい。
このゲームが神ゲーになれなかった理由は、このクソみたいな品質管理のせいだ。
ファストトラベルゲーなのにファストトラベルできない問題
このゲームはMAPのUIが特にクソだ。本作では世界はシームレスになっておらず、基本的にワールドマップから目的地を選択することで、移動を行うのだが、UIがクソ過ぎて目的の場所にファストトラベルすることができない。
本作には1000を超える惑星が収録されているのだが、目的の惑星に行くには、星図の中から目的の星系/惑星を探し出す必要がある。は?????無理だが??????
街がある惑星とか!!
自分の家がある惑星とか!!!
表示しろよ!!!!
このシステムのせいで、自分の拠点が見つけられなくなったり、一度言った街を再訪することができなくなったりする。
例えば、主人公が所属するコンステレーションという組織は、アルファケンタウリ星系のジェミソンという惑星にあるのだが、この情報を忘れると二度と訪れることができなくなる。(その惑星に対応するクエストを持っていればクエストからFTすることは可能ではあるが。。。)
星図からアルファケンタウリ星系を選び
この星系の中からジェミソンという惑星を探し出し
無事ジェミソンを見つけることができればファストトラベルができる
一度見つけた街や、自分の拠点、家ぐらいはブックマークして簡単に飛べるようにするのが当たり前じゃないですか?テストプレイしました?
移動だるすぎ問題
これだけ広大な世界で、惑星に降り立ったときの移動手段が「徒歩だけ」なのは流石に無理がありませんか?一体プレイ時間の何割がてくてくと歩いている時間なのだろうか。
あと街のMAPがないのもやばすぎる。武器屋さんどこ?病院どこ?自分の家どこ?複雑な街の構造を歩き回って探さないといけないのはマジで意味不明。マーカーぐらいおけるようにしてくれませんか?
有志で外部にこんなきれいなMAPサイトつくられて恥ずかしくないんですか?
https://mapgenie.io/starfield/maps/new-atlantis
つまらなくもないが面白くもない戦闘
ただの敵がカッチカチのそこらへんにあるTPS。なぜV.A.T.S.のシステムを採用しなかったのか。敵の索敵範囲が広く敏感すぎるせいで、ステルスプレイや、狙撃、近接などのプレイスタイルを許容できていないのも面白く感じない要因だろう。
本枠独自の、超能力を使用する「パワー」というシステムがあるが、効果が微妙でほぼ息をしていない。というかゲーム中でほぼ説明がないので大半のプレイヤーは使用すらしていないのではないだろうか。
価値のない拠点システム
プレイヤーは数多の惑星の中に、資源の採掘拠点を設置し、鉄やアルミなどの資源を大量に採掘することができる。。。のだが、このシステム何のためにあるんですか?
大量の資源を集めたところで、使い道がないのである。武器や宇宙服の改造に、このような資源が求められるのだが、そもそもショップで非常に安価で購入可能である。なのでわざわざ手間をかけて、採掘拠点を作成する意味は全くない。ゲーム内で資源の価値は非常に低いので、大量に採掘して売却するのもさほどうまみはない。
また、生活拠点を建築することも可能であるが、簡単にファストトラベルできないので、作った拠点をわざわざ使うのが面倒くさすぎる。必要な施設を宇宙船の中に搭載するのが一番楽で便利だ。
Satisfactryの表層だけを真似た、つまらない要素だ。
総評
プレイをしていて、ゲームとしての品質の悪さにイライラするのは事実だ。だが、この膨大な世界の作り込みやヴィジュアルの美しさ、多様なロールプレイを許容する寛容さなど、唯一無二の価値を持つ要素があることもまぎれもない事実である。そして私はこのゲームが大好きだ。
『Starfield』は決してクソゲーではない。間違いなく一度プレイする価値のあるゲームだ。
そして、この警句はあまり好きではなく、本作には使わなくて済むことを願っていたのだが、「このゲームはMODが出そろってからが本番だ」数年もすれば、このゲームのクソみたいな要素はMODにより全て改善され、間違いなく神ゲーに昇華されるのであろう。
Bethesdaは本作の低評価の意味をよく噛み締め、MODに頼らないゲームを作ってほしい。何年後になるかはわからないが、次回作にも私は強く期待している。
- 唯一無二の格別なヴィジュアル体験
- 自由度の高い宇宙船建造
- 多様なロールプレイを楽しめる自由な世界
- 10年前にタイムスリップしたかのような使いずらいUI
- 様々なコンテンツがあるが、全体的に味が薄い
- 「移動」という行為のストレスが多く苦痛
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