2019年発売の名作、『STAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダー™』の続編となる作品。前作は帝国から隠れ生き延びるパダワンだった、主人公カル・ケスティスのジェダイへの覚醒や、暗黒面の力を使った過去に苦しむ元ジェダイ、シア・ジュンダのジェダイへの帰還を、極めてシネマティックにゲームに落とし込んだ怪作だった。
本作『STAR WARS ジェダイ:サバイバー™』は、前作から5年後が舞台となっており、ジェダイ・ナイトとなったカルのその後の戦いが描かれる。
ハイパー名作、フォールンオーダーのレビューはこちら。
開発元 | パブリッシャー | リリース日 |
Respawn | Electronic Arts | 2023/4/28 |
前作から紡がれ、進化した爽快なフィールドアクション
やはり、本作の素晴らしい点として、まず紹介をしなければならないのは、非常に爽快なフィールドアクションについてである。前作でも壁キックや壁走り、2段ジャンプなどで小気味よくフィールドを駆け抜けていく操作感は抜群のものだったが、今作ではフィールドアクションがさらに進化している。
ゲーム開始直後に驚いたのだが、本作はゲーム開始時点で、前作フォールンオーダーで覚えたアクションが全て使えるのだ(フォールンオーダーは、壁キック、壁走り、2段ジャンプなどはカルの成長と共に解放されるアクションだった)。ゲーム序盤から様々なアクションが解放されているため、ゲーム後半にかけて操作やギミックがマンネリしてしまうのではないか?という疑念があったのだが、それはいらぬ心配であった。
本作では、前作での操作に+αする形で様々な新アクションやギミックが用意されており、プレイヤーを飽きさせない。特にゲーム中盤で登場する空中アクションを使った一連のフィールド、ボス戦は圧巻の演出と気持ちよさであった。前作の操作感が気に入ったプライヤーは、本作でも楽しくフィールドを駆け巡ることができるだろう。
前作から明確に退化した、戦闘アクション
戦闘アクションは、ただただつまらなくなっており残念だ。JEDIシリーズは、パリィを主体としたソウルライクよりのゲームである。ソウルライクゲーの難易度調整で最もストレスが溜まる悪い例が「敵を複数出して難易度を上げる」という行為なのだが、本作はその最たる例である。
本作の「パリィ主体のアクション」がどのようなものか簡単に解説をすると、敵からの通常攻撃はパリィすることで体幹ゲージを削ることができ、敵が赤く光る攻撃はパリィ不可なので回避行動をとらないといけない、というSEKIROっぽいものだ。
これが前述の複数体戦闘と非常に相性が悪い。複数体の敵が通常攻撃とパリィ不可攻撃を重ねてくるのだ。その上遠距離から射撃が飛んできたりするものだから回復もできずハメ殺されることも珍しくなく、非常にストレスの溜まるデザインだ。1vs1のボス戦はアクションを学習しパリィを決めていく面白さがあるものの、全編を通して数体しかボスがおらず、満足するほど楽しむことはできなかった。
目的意識が不明瞭なストーリー
今作はとにかくストーリーが面白くない。主人公たちが何をしたいのか、何を目指しているのかが、プレイヤーに伝わってこないのだ。(クリアした今でもイマイチ共感できない)
なんなら敵が誰なのかすらも良くわからない。ベッドラムレイダーって誰?帝国が敵じゃないの?と思ったらたまに帝国がでてきてすぐ退場。ゲーム終盤はほんとに誰と何のために戦っているの?って感じ。
そしてこの意味不明さには、翻訳の出来の悪さも片棒を担いでいる思う。全体的に自然な日本語ではなく、内容が頭に入ってこないのだ。機械翻訳とまではいかないけど、一般的な映画翻訳のような質には至っておらず、インディーゲー翻訳のようだ。前作ってこんなんじゃなかったよね???
BGM 演出面について
BGMには前作ほどのインパクトや感動はなかった。特に悪いというわけではないが。
演出については、前作の特に終盤が良すぎたせいで今作は物足りなく感じる。全体を通して見ても、目を見張るような演出はあまりない。特にダースベイダーの演出面での使い方が今作はひど過ぎる。
総評
JEDIシリーズってこんなにつまらなかったっけ、というのが正直な感想だ。偉大な前作があるというのは、ゲーム開発に於いて非常にタフなものだなと感じた一作である。
- 前作の爽快なフィールドアクションがさらに進化
- 1vs1のボス戦のパリィアクションの気持ちよさは健在
- 多数用意された複数戦がゲームシステムと噛み合っておらず苦痛
- ストーリー、演出面は前作から劣化し魅力なし
- 翻訳がイマイチで没入できない
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